留美子がロープを怖がったように、都合良く吹いた風に私も恐怖したのだろうか。


中に入った今では、風なんて感じない事を少し不思議に思うけれど。


「なんかさ……似てるよね。『カラダ探し』の雰囲気に」


私の後に入った留美子が、ボソッと呟く。


留美子だけじゃない……皆、それを感じているようだった。


小野山家の中と夜の校舎は、内装も広さも当然違う。


だけど、冷たく刺すような空気、どこからか見られているような雰囲気が似ている。


もしかすると、校内放送が流れるんじゃないかとさえ思ってしまうこの空間に、不気味さを感じずにはいられない。


「やだぁ、何よこのほこりっぽい家ぇ。本当に大丈夫なのぉ?」


例外もいるようだけど。


「そうだな。まずは一階から見ていこうか。こっちは……台所や個室なんかがあったかな?」


八代先生に案内されるままに、玄関を入って左側の廊下へと進む。


天井は高く、蜘蛛の巣がそこかしこにあり、まさに廃墟というに相応しい。


ギシギシと音を立てる床も、いつ抜けてしまうのだろうと心配になる。


「ここが台所だね。小野山家の食事は、使用人が作っていたらしいよ」