留美子が素直に謝った……あれだけ二見を嫌っていて、絶対に謝るタイプじゃないと思ってたのに。


謝り方もたどたどしいけれど、それは謝り慣れてないからだろうと、勝手な推測を立てて。


二見がどう返事をするか、私はそっちの方が気になった。


「留美子……いいよぉ、別に。分かってくれたならぁ」


留美子の方に振り返り、そう言った二見。


その言葉に、留美子もホッとした様子で吐息を漏らしたが……なぜか二見は右手を振り上げていた。


そして、それは留美子の左頬を捉え、振り抜かれたのだ。


パンッ!という音。立ち位置が違うだけで「昨日」と同じ光景を、私は不思議な感覚に包まれながら見ていた。


「許すけどぉ、ぶたれたのはムカついたからぁ、これでおあいこねぇ」


少し痛かったのだろうか、留美子の頬をぶった右手を軽く振りながら、ニコニコと笑う二見。


「いったぁ……やっぱり結子、ムカつくわぁ」


そう言い、留美子は頬をなでながら震えている。


それは言葉通り、二見に対する怒りからなのだろう。