「相島さぁん……私、もうどうすれば良いか分かんないよぉ……武司に殺されたしぃ。もう家にも居られないぃ」


ゆっくりとカバンを下げ、目に涙を溜めながら話す二見。


家に居られないという事は、袴田が家にまで押しかけて、二見を殺したのかな?


何にせよ、皆で一緒にいる方が安全なのは確かだから、学校に来てくれた事はうれしかった。


「あの後ねぇ、家に帰ったんだけどぉ、武司から電話があってぇ……」


教室で、「昨日」あった事を二見の口から聞いていたけれど、相変わらずトロい口調にイライラしそうになる。


でも、袴田が悪い印象が強いだけで、二見は決して悪い子じゃないんだよね。










……たぶん。


「だからぁ、今日は携帯は家に置いて来たのぉ。部屋まで来られたらぁ、逃げられないもん」


「つまりは、袴田が二見さんの部屋にまで入ってきたって事だよね?自分の部屋で殺されるなんて、嫌だなぁ……」


だいたいの状況は分かった。


やっぱり袴田が危険だという事は間違いない。


二見は私達と一緒にいるべきだ。


夜の校舎で、死体となって動き出さないためにも。