いや、二見がこちらに向かっているのなら、落ちたのかもしれない。


それとも、私の運が悪いから、二見が来る予定の方に逃げてしまっただけなのか……。


「翔太……指から血が出てた……ごめん」


謝ってばかりだ……。


私は誰かと一緒にいるよりも、ひとりで行動した方が良いかもしれない。


昨夜は二見を、今夜は翔太を巻き込んでしまった。


「マジかよ……言ってても仕方ないな。何かを探してる余裕なんてないし……とにかく、血が垂れないようにしてくれ」


翔太の言葉にうなずいて、二見をやり過ごす為に、私はドアのガラス越しに見られないように身を隠した。


もしも、今私達が二見に見つかったらどうなるのかな?


伊勢の話では、「赤い人」に追われている途中でも、「赤い人」を見た者が振り返れば、振り返った方が真っ先に殺される。


この時に、追われていた者は助かると言っていたけど……。


死体に見つかった場合の話を、八代先生から聞いていない。


八代先生も知らない事なのかもしれないけれど。