あの後、柊……留美子の携帯番号とメールアドレスも教えてもらって、私の携帯電話には家族の他にふたりの名前。


校門を出て、最初のT字路で家が逆方向の留美子とは別れた。


「えへへ……電話帳にふたりもクラスメイトの名前がある」


昨日、「赤い人」を見てから、なんだか良い事ばかり起こっている。


明日香に頼まれた「カラダ探し」の事は気になるけど、それ以上に友達ができた事がうれしい。


このまま、家に帰らなくても良いなら言う事ないんだけどな……。


真冬は一駅向こうの高校に通ってるから、家に帰ればお母さんとしばらくふたりきり。


話もしないし、私にとっては苦痛な時間でしかない。


私がいてもいなくても、お母さんには関係がないから。


今の高校に通うまでは、真冬も私も、同じように接してくれていたのに。


そんなに、私に進学校に行ってほしかったのかな。


でも、私は別に進学したいわけじゃない。


かと言って、やりたい事があったわけでもないから、今の高校に行ってるわけだけど……。


それが、お母さんを怒らせてしまったのだ。


だから私は、家に帰りたくなかった。