足でそれらをかき分けて、中に何もない事を確認した私達は、廊下を挟んで向かい側に移動した。


カラダがあれば良かったけれど、なかったから私の怪我は無駄という事になる。


「美雪、大丈夫か?」


次の部屋に入っても、手を押さえている私を心配してくれる翔太。


「うん、ありがとう。でも大丈夫」


第二実習室。


ドアの上に、プレートが掲げられたその教室は、机や椅子のない収納ばかりの部屋で、調べるのは簡単そうだ。


「そろそろ二見さん……動き出したかな? いつ動き出すかは分からないって言ってたよね? 八代先生は」


窓側にある収納を調べながら、翔太に尋ねる。


「どうなんだろうな……それより、袴田の方がヤバいと思うな。生きていても、死んでいてもやっかいだ」


生きていても……死んでいても?


どうして翔太は死んでいてもなんて言うのだろう?


確かに、伊勢にボコボコにされて、ぐったりとはしていたけど……。


もしも、あれで死んだのなら、私達がナイフを持っていても無意味という事になる。


できれば「赤い人」に殺されていてほしかった。