暴力的な袴田と伊勢……同じように思えて、内面は全然違う。


でも、二見が別れると言った今、袴田が明日を迎えたくない理由は何なのだろう。


伊勢への対抗心?


それともただの嫌がらせ?


なんにせよ、邪魔をしてくるというのなら、袴田の理由なんてどうでも良い。


私達は、玄関前ホールを後にして、工業棟へと向かった。


西棟の二階から生産棟に入り、そこから工業棟に入った私達。


移動しながら、どこを調べるかを話し合い、伊勢と留美子が一階を、私と翔太が二階を調べる事になった。


前回もここを調べたという伊勢が、追い詰められれば逃げ場のない一階を担当してくれるのはありがたい。


工業棟の一階に行く方法は、外から入るか二階から階段を使うしかないから、「赤い人」が来た時の事を考えると、校舎の中では調べるのが一番難しい場所かもしれないのだ。


それに付き合うのは留美子。


移動中に泣きやんで、ある種の決意を秘めたような雰囲気が、その態度から感じ取れた。


「ほらよ、お前らはこれくらいがいいだろ?3本くらいは持ってろ」