「きゃっ!!」
思わず声を上げた瞬間、暖かく、明るい部屋が暗くなり、その時が訪れたのだと私は理解した。
地面が冷たければ、肌をなでる風まで冷たい。
八代先生の声で目を覚ました私達は、とりあえず辺りを見回す。
伊勢と留美子は今起きたようで、目をこすりながらあくびをしていたが、翔太はすでに起きていたらしく、何かをジッと見つめている。
「翔太、もう起きてたんだね」
私の言葉に、ゆっくりと視線の先を指差す翔太。
その指の先には、足をこちらに向けて横になっている二見。
ピクリとも動かずに、眠っているような姿は、まるで昨夜の翔太のようで……嫌な予感がする。
状況を把握できずに、私は携帯電話をポケットから取り出して、慌てて二見に駆け寄った。
その光で二見を照らすと、脚や顔にはアザが、そして……首には何かで絞められたような痕がくっきりと残っていたのだ。
呼吸もしていない、脈もない事を確認した私は、今日の朝の事を思い出していた。
もしもあの時、留美子が二見をぶたなかったら……こんな事にならなかったかもしれない。