「やっぱりムカつく!あの顔で、こんな部屋なんてありえないって!洗濯物はどこに干してあるのよ!」


言うと思った。


私も、留美子と同じ想像をしていたから何も言えないのだけれど。


「適当に座れよ。あぁ、それから、そこの襖は開けねぇ方がいいぞ」


ソファに横になり、自分の部屋であるように振る舞う伊勢が、隣の部屋につながっているであろう襖を指差す。


「まあ、開けるなって言うなら、俺は開けないけどな。先生の家だしさ」


伊勢が寝転がっているソファの、テーブルを挟んで反対側のソファに腰かける私と翔太。


「ははーん……そういう事ね。この部屋は来客用で、本当の部屋は隣の部屋ってわけね!?」


「る、留美子……別にどっちでもいいじゃない。ここで先生を待とうよ」


「ダメダメ! 汚い部屋を見ないと、私は納得しないよ!」


いったい何がしたいのか……留美子の行動は理解に苦しむ。


私が止めるのも聞かず、襖の前に歩み寄り、両手を広げるようにそれを開ける留美子。


「やあ、ごめんごめん。夕飯はピザでいいかな?勝手に注文したけど」