何やら、訳の分からない事をブツブツと呟く三神を尻目に、私は皆の後を追って教室を出る。


まだまだ約束の17時半までには時間があるから、それまでの時間を潰さなければならない。


先頭を歩く伊勢が向かう先は、相変わらず屋上。


階段を上っている途中で、教室を出てから「うーん」とうなっていた留美子が口を開いた。


「なんだろ……『昨日』まで何とも思わなかったのに、遥が少しムカつく」


「留美子、お前もか? 俺もなんか嫌なんだよな……」


留美子だけじゃなく、翔太まで。


少し変化した「昨日」に、何か関係しているのだろうか?


私は特にそんな印象は受けなかったから、ふたりの気持ちは分からなかった。


屋上に着いた私達は、伊勢のお気に入りの場所……南側の端の柵に全員がもたれかかって、遠くの山を見ていた。


「二見さん……今頃どうしてるかな?」


ボソッと呟いた私の言葉で、頭を抱える留美子。


「美雪、それ言わないでよ……これで結子が武司の所に戻ったら、私のせいじゃん」


留美子もそんな風に考えたりするんだ。