「フフッ。ありがとうね、高広。理恵とふたりだけだから時間がかかるのよね。終わったら遊びに行かない?」


三神まで伊勢を頼ってる……意外と人気があるんだなと思いながら、私達はやりたくもない掃除を手伝う事になった。


留美子は終始ブツブツと文句を言っていたけど、六人でやれば早いものだ。


でも、どうしてだろう?


掃除をしている間、私達を見定めるような視線を、三神が向けている事が気になる。


時折笑っているかのような口元が、ただでさえミステリアスな三神をより強調して見せていた。



掃除を終え、帰宅の準備を始める鳴戸と三神。


「高広、昨日は誘いを断ったんだから、今日は私に付き合いなさいよね」


その三神が、これみよがしに伊勢の腕に自分の腕をからませて、皆に聞こえるような声でそう言った。


同級生だとは思えないような、少しだけ大人の魅力を感じるその行動に、なんだか胸がドキドキする。


「わりぃな、俺達は用事があるんだよ。理恵とでも遊んでてくれ」


からんだ腕を振りほどき、私達に目で合図を送って教室を出る。


「ふぅん……そういう事ね。高広と一緒にさせたくないから、私を選ばなかったんだ」