「うーん」とうなりながら、目を閉じて眉間にシワを寄せて考えている様子で。


「先生の時はどうだったんだ?5年もやってたなら分かるだろ?」


悩んでいる八代先生を、にらみ付けるように見つめる伊勢。


「えっと……相島さん?キミは、その操られた死体を正面から見たんだよね?」


「え?そ、そうですけど……」


私の言葉の後、フウッと息を吐いて立ち上がり、伊勢の肩をつかんで私と向かい合わせた。


八代先生は伊勢の背後に立っている。


「いいかい?相島さんが死体で、彼が昨夜のキミだとしよう。『赤い人』が現れたのは僕がいる場所だ。これは分かるね?」


分かるも何も、その状況がそのまま再現されているのだから。


「八代先生、だからなんだっての?見つかったら、背後に呼ばれるんだよね?私だってそれくらい分かるよ」


伊勢だけじゃなく、留美子まで無礼な言い方。


さすがに八代先生もムッとしたのか、次に伊勢を180度回転させ、私に背を向けさせた。


「じゃあ、この状態で見つかったらどうなると思う?『赤い人』はどこに現れる?」


留美子を見ながら、そう問いかける八代先生。