二見の顔を見るなり、食ってかかる留美子。


私もその答えは知りたい。


昨夜の二見の行動は、邪魔をしているようにも、ただ恐怖しただけにも思えるから。


「だってぇ……怖くてぇ。相島さん、ごめんねぇ」


そう言い、うなずくように頭を下げる二見の態度に、留美子が右手を振り上げた。


そして……パンッという音が鳴る。


一瞬何が起こったのか分からず、呆気にとられる翔太と私。


気付いた時には、二見は翔太の席の、後ろの机に手を突き、ぶたれた頬に手を添えていた。


「謝って済む問題じゃないでしょ!?私達は真剣にやってんのに、あんたは武司と何してたんだよ!そんな奴、信用できるかっての!!」


フーフーと鼻息も荒く、留美子は二見を見下ろしている。


こんな時……私はどうすればいいんだろう。


オロオロとふたりを交互に見る事しかできない。







「私だって……頑張ったのに」







聞こえるか聞こえないかというほどの小さな声で呟いて、二見は教室を飛び出して行った。


手を突いた机の上に、水滴があった事に気付いたのは、留美子が落ち着きを取り戻した後だった。