「相島さん? どうしたのぉ?」


二見の言葉に反応したのか、それとも携帯電話の光に気付いたのか、その影がゆっくりと動き始めた。


「そこに誰かいる、今の声で気付かれたかもしれない」


さっき、「赤い人」から隠れた時とは状況が違う。


確実に私達がここにいるという事が知られてしまった。


こうなってしまっては、もうどこに隠れたとしても、見つけられてしまうだろう。


トイレの入り口に黒い人影が見え始める……。


伊勢であってほしい。


もしも袴田だったら、二見はともかくとして、私は何をされるか分からない。


翔太を殺したようなやつだ、私なんかすぐに殺されるだろう。


もしかすると、「カラダ探し」が始まる前に、二見と申し合わせて、ひとりずつ殺すつもりだったのかもしれない。


袴田じゃありませんように……。


そう祈りながら、入り口に向けた携帯電話の明かりが照らし出した人物に……私は戦慄を覚えた。








「う、嘘でしょ……なんで?」









「あ、相島さん……ど、どういう事なのぉ!?」


私の制服の袖をつかんで、ガタガタと震える二見。