「まっか……にそめ……」
しばらく二見と抱き合ったまま、声が聞こえなくなった事を確認して、フウッと一息。
これくらい離れれば、ささやき声なら「赤い人」には聞こえないだろう。
「ふ、二見さん……良い? ここを出たら、靴を脱ぐか、足音を立てずに歩いてね……すぐそこの階段から、二階に下りるよ」
生産棟の北西、音楽室の前にある階段。
できればこのトイレも調べたいけれど、物音を立てたくはないから。
このフロアは半分調べたから、残り半分はまた後で良い。
それにしても……二見の胸が私の胸を圧迫して苦しい。
私も女だけど、これだけ密着して押し付けられると、少し恥ずかしかった。
「うん……でもぉ、相島さんは、いつもこんなに怖い目に遭ってるのぉ?」
私の背中に手を回し、制服をギュッと握り締めているのが分かる。
まだ怖いのだろう……身体の震えが止まっていない。
「私だけじゃないよ。皆、理由は違っても、必死に明日香のカラダを探してるんだよ」
保健室で、袴田とエッチをしていた二見とは違うんだよ。
と、心の中で付け加えて。