「ごめんね……美雪、私の……」






明日香が私にそこまで言った時、入り口にいた伊勢が突然こっちに向かって走り出した。


何? 明日香は何を言おうとしているの?


涙を流して……私が好きな、笑顔を浮かべて。


「明日香! ふざけんなよ!!」


そう叫んだ伊勢が明日香の腕をつかみ、それを引き寄せて……。


クラスメイトが見てる前だというのに、明日香を抱き締めたのだ。








「お前がどこにいても探してやるって言っただろ! だから、俺に頼め!! 俺が探してやる!」








何、これ……。


私の目の前で、いったい何が起こっているの?


明日香の身体を抱き締めて、涙を流している伊勢。


それに、俺に頼め?


何がなんだか分からないけど……私が友達に送った初めてのメールが無視されたみたいで……悲しかった。


伊勢は、明日香が何を言おうとしているかを知っているの?


どうして……私の目の前で明日香を抱き締めてるの?


何も理解できない私と、すべてを理解しているかのような伊勢。


そんな私達に、明日香は呟いた。







「ごめんね……高広、美雪。私のカラダを探して」






私達が明日香に「カラダを探して」と言われた時、伊勢の行動に驚いた人は、クラスメイトの中にもほとんどいなかった。