「武司とは別れるよぉ、でもぉ……夜の学校って怖いしぃ」


「皆怖いのに頑張ってんだよ!!あんただけじゃないっつーの!!」


無視しておけばいいのに、留美子もどうして相手をするかな?


棚と掃除用具入れを調べた私は、留美子がまだ調べていない机の方に歩を進めた。


身をかがめて、携帯電話の明かりで机の中を照らそうとした時。


怒鳴る留美子の声に混じって、あの声が聞こえたような気がした。


「だってぇ……カラダを探すなんて、気持ち悪いしぃ」


「だったらひとりでここに……」


「ふたりとも! 静かに!!」


私の勘違いならそれでいいけれど……そう思い、耳を澄ます。













「キャハハハハハハッ!」












まだ近くにはいないけれど、確実にこちらに向かっている笑い声。


声が響いていて、どこから来るのかが分からない。


「ヤバいじゃん!『赤い人』が来るよ!!」


「留美子が怒鳴ってたからでしょ! 早くここから逃げよう!!」


そうは言ったものの……この教室は生産棟の北東の隅にある。