「ここにはないね、じゃあ次の部屋を調べようか」


フウッと、早くも疲れたようなため息を吐く留美子。


あれだけ二見に怒ってたら、疲れて当然だよ。


「もう疲れたぁ……少し休もうよぉ」


たいして何もしていないのに、椅子に腰を下ろしてうつむく二見。


やっぱり作戦なのだろうか?


こうやって、わざと調べるのを遅らせて「赤い人」に殺させる。


そうなれば、必然的に日数は過ぎて行くし、袴田の思うつぼだ。


「結子、あんた私達の邪魔してんの!?手伝う気がないなら、ずっとそこで座ってれば!!美雪、次行こう」


「赤い人」が近くにいたら、まず間違いなく襲われるだろう。


それほどの声で、留美子はしゃべっていると気付いてるのだろうか?


いっこうに事が進まないこの状況に、苛立ちを感じずにはいられなかった。


留美子の言葉が効いたのか、椅子から立ち上がり、ブツブツと何かを呟きながら私達の後に付いて来る二見。


留美子が二見を嫌いだという意味が良く分かる。


廊下の突き当たりの習字室に入っても、まだ呟きを止めない。