「ふたりとも、とにかく中に入って。そんな大声出してると、西棟の二階からでも『赤い人』が来ちゃうよ」


私の言葉にうなずき、二見を部屋に入れる留美子。


二見の話を聞くために、ドアを閉めて室内の様子をうかがった。


暗幕と思われた物は、廊下から室内を見えなくするための物らしく、その部屋は校舎の中にいくつかある職員室のうちのひとつだった。


留美子は椅子に座り、二見を立たせて話し始める。


「で?私達が必死にカラダを探してた時に、あんた達は保健室でイチャイチャしてたんでしょ?ずっとヤってればいいじゃん。なんで今さら助けてなんて言うのよ?」


携帯電話の明かりを二見に向けて問いかける留美子。


尋問は留美子に任せて、その間に私が室内を調べなければ時間がもったいない。


「だってぇ……『赤い人』に見つかったら、武司は私を突き飛ばして逃げるんだよぉ……いつも殺されるのは私なんだもん」


相変わらずトロい口調で話し始める二見に、私は少しイライラしながらもデスクの引き出しをひとつひとつ調べる。