コツコツと、足音を廊下に響かせながら、徐々にこちらに近付いてくる。


やっぱり、足音のリズムにバラつきがある。


速くなったり、遅くなったり……「カラダ探し」をさせられて四日目、一度でもまともにカラダを探した事があるなら、こんな歩き方はしないはずだ。









「留美子ぉ、相島さぁん……どこにいるのぉ?」









小さい声、だけど確実に聞き取れた二見の呼びかけに、私達は顔を見合わせた。


「罠かな? 私達を探して、いきなり包丁でブスリ……とかさ」


「ちょっと、縁起でもない事言わないでよ! それに、なんでここに私達がいるって知ってるの?おかしくない?」


まあ、おかしいよね……私達がここにいるという事を知っている人は誰もいないのに。


伊勢にも、生産棟の三階に行くとは言っていないのだから。


どちらにしても、私達が取る行動は、無視をするか、二見の話を聞くか。


「今、『赤い人』が来たら最悪だよね……二見さん、『カラダ探し』の事、何も知らないでしょ?」


「私達まで巻き添えになるかもしれないって事か……仕方ないなあ」