「赤い人」のペタペタという足音とは違うから良いけど、もしも「赤い人」なら、こんな話し声でも気付かれてしまうかもしれない。


「うん……でも、足音が一定のリズムじゃないの。目的地が決まってたり、教室の中をのぞいてたりするなら、移動する時は同じリズムを刻むはずでしょ?それに私達なら、こんなに足音を響かせない……」


「んー……そうなの? 私には良く分からないけど、じゃあ誰が来てるっての?」


確信は持てないけど……たぶん、二見じゃないかな?


袴田は伊勢が見張ってるし、翔太はすでに殺されている。


今、自由に動けるのは彼女しかいないから。


だけど、二見がどうして単独で動いているのか、それが分からない。


「ちょっと美雪、聞いてる?」


ポンッと肩を叩かれて、ハッと我に返る。


「ああ、ごめん。たぶん……二見さんじゃないかな?」


「結子のやつ、絶対邪魔するつもりだよ。どうする?翔太の恨みもあるし、捕まえる?」


確かに、邪魔をされるのは嫌だし、袴田と一緒に翔太を殺したのなら許せない。


だけど……袴田と別行動を取っている理由は何なのか、それが気になった。