翔太の体は冷たくて……脈もない。


すでに確認した後なのだろう。


よく見れば、ボタンが外されたカッターシャツの間から、何かで刺されたような傷が、胸にある事に気付いた。


「翔太を殺しておいて、その態度は何だゴルァァッ!!テメェも殺してやんよ!!」


「俺の所にあのガキを連れて来て、邪魔をしやがったんだ!! 死んで当然だろうが!!」


私達女子が動揺している中で、殴り合う伊勢と袴田。


……翔太が死んでる。


夕方、私の家の前で別れてから、いったい何があったの?


物言わぬ翔太の頬をなでて、私は泣いている留美子の所に戻った。


「留美子……大丈夫?」


声が震える……悲しみと、袴田に対する怒りで、これ以上ないってくらいに。


「邪魔してんのはテメェだろうが!!」


伊勢の蹴りが腹部にめり込み、前のめりに倒れる袴田。


その姿を見て、ほんの少し気が晴れたけど、こんな状態で「カラダ探し」なんてできるのだろうか。


私がどれくらい眠っていたのか分からないけれど、生徒玄関のドアはもう開いている。


早く中に入って、最初の校内放送が流れるまでに移動しないと。