家に着いたのは16時過ぎ。お母さんは帰っているけれど、真冬はまだ帰っていない。


私はいつものように、何も言わずに部屋へと戻った。


制服から部屋着に着替え、ベッドに横になり、携帯電話を開く。


今日は別に、誰かにメールをするわけでもないし、電話帳だって変わらず4人の名前しか入っていない。


「昨日」から、ベッドに横になるたび、携帯電話を眺める癖が付いてしまっている。


伊勢に番号を教えてもらってからずっと。


でも……その伊勢は、明日香の事が好きで、明日香が「カラダ探し」を頼みに来た時には、いつもとは違った表情を見せて抱き締めていた。


あの胸の痛みは何だろう……ここ最近ずっと感じる、今までにない感覚。


「カラダ探し」を頼まれる前……明日香しか友達がいなくて、ひとりでいた時には感じる事もなかったのに。


少しずつ、私も変わっているのかな?


人と一緒にいるより、ひとりでいた方が良い。


他人は、自分の成績がどの程度かを見極めるための、ただの競争相手。


なんて……お父さんにそう言われてきたし、そう思っていた。