「うーん。その可能性は否定できなくもないけど、ふたつも同じ棟にあったんだ。もう生産棟にはないって可能性もあるよな?」


「そんな、どうでもいい事話してても仕方ねぇだろ。ひとつでも違う場所にあるなら、全部の部屋を調べる事になるんだからよ」


伊勢の言う通り、可能性だけの話なら二択しかないのだ。


あるか、ないか、そのどちらかだけ。


結局はしらみ潰しに調べるしかないのだから。


「まあ、どちらにしても調べるしかないのなら生産棟を先に調べてしまおう。それに、明日香の腰は見つかったんだから、今まで調べた場所も無駄にはならなかったって事だろ?」


校門に向かって歩きながらも、いろいろと考える事がある。


「つまり……東棟も西棟も、一度調べた場所はもう、調べなくても良いって事だよね?」


「カラダの場所が変わっていなければそうだな。どこを調べてもカラダがなければ、もう一度調べればいいさ」


私の問いに答えた翔太。


校門を出て、しばらく歩いたT字路で、伊勢と留美子とは別れ、翔太とふたり、今夜の事を話して一緒に帰宅した。