どう見ても怒っている先生から、伊勢はどうやって情報を聞き出そうというのだろうか。


「いや、今日が初めてだけどよ、俺は一度『カラダ探し』を終わらせたんだ。だけど今は、二度目の『カラダ探し』をやってんだ。先生が知ってる事を教えてくれよ」


「二度目!? 上手い冗談だね。そうやって皆、好奇心で僕に『カラダ探し』の事を聞いて来るけど、そんな冗談に付き合ってるほど暇じゃないんだ。今回の事は許してあげるから、早く授業に戻りなさい!」


伊勢に任せたのが間違いだったかな。


明らかに怒っている様子で、階段を下り始める八代先生。


「……小野山美子、小野山美紀、山岡泰蔵に雄蔵。『赤い人』は美子だ。他に何を話せば信用してくれるんだ?」


伊勢が並べたその名前に、八代先生が足を止めて、ゆっくりと振り返った。


私達をジッと見つめて、再び階段を上り始める八代先生。


「冗談ではないようだね。それに、その名前を知っているという事は、僕の知っている情報はもう持っているんじゃないか?」