「じゃあ、留美子は教室に戻って授業を受けるのか? 話は俺達3人に任せてさ」


そんな事をするはずがないと分かっていて、フフッと笑いながら尋ねる翔太。


「冗談は止めてくれない?分からない授業なんか受けたって意味ないじゃん」


などと、あまり大声を出さないように、私達はその時を待っていた。











「うわっ! なん……んー!んー!」


二限目の途中、トイレから出て来た八代先生の口をふさぎ、伊勢が強引に八代先生を階段の上に連れて来た。


いくら短気だからといって、拉致まがいのこの行動は、かわいそうな気がする。


「先生よぉ、またいろいろと教えてほしいんだよ。『カラダ探し』の事をよ」


頼んでいるのか脅しているのか分からないような言い方だけど、四つんばいでうつむいていた先生が、その言葉で顔を上げた。


「うっわー……」


ギョロッとした目に、痩せこけた頬、不気味な風貌のこの男性を見て、留美子が思わず声を上げる。


「『カラダ探し』だって!?もしかして、僕は毎日こんな扱いを受けていたのか!?」


その場に立ち上がり、ほこりの付いた服を手で払う。