恐らく伊勢は、明日香を抱き締める為だけにここに来たのだ。


それをのぞいていたなんてとても言えなくて、ごまかすしかなかった。


「あ、あの……ほら、教室にいても仕方ないじゃん?『カラダ探し』の事も話し合わなきゃならないし……」


少し苦しい言い訳だったかな?


それでも、伊勢は納得したようで、「ふーん」と、小さく何度も首を縦に振り、私達を見回した。


「おぉ、相島。メールの件だけどな、俺もカラダを見つけたぜ」


その言葉に、皆驚いた様子で伊勢の顔を見る。


「えっ! じゃあ『昨日』は、二つも見つけたの!? 一気に終わりに近付いたじゃん!」


柵にもたれていた留美子が、パアッと明るい笑顔になり、私に視線を向けた。


「焦ったぜ、お前ら全員、殺されてたんだからよ。しかも、見つけたのは腰の部分だ!」


「マジで!? 美雪、良かったじゃん!」


伊勢の報告は、今の私にとっては何よりもうれしかった。


それでも、素直に喜ぶ私達の中で、翔太ひとりだけが困ったような表情を浮かべていたけれど……。


何か考えることがあるのだろうか?