少し大き目の棺桶の中に、人型の窪み……まるで、明日香のカラダを型取ったそこに、抱えた右胸をそっと納める。


ピタリと、ジグソーパズルがハマる感覚に近いだろうか……。


吸い付くように、その場所に納まった右胸から、私は手を放した。


「やった……これでひとつ」


本当なら、二つ目なのに……昨夜の事は、悔やんでも悔やみ切れない。


フウッと息を吐き、立ち上がったところで……背後から、「あぎゃっ!」という潰れたような声と、何かが床に落ちるような音がした。








留美子が……殺された?







恐る恐る、携帯電話の明かりで照らしながら、振り返った私が見たものは……。


床に崩れ落ちた留美子の身体から噴き出す血を、全身に浴びて、満面の笑みを浮かべる「赤い人」の姿だった。


苦悶の表情で私を見つめる留美子の亡骸とは対照的な、うれしそうな「赤い人」に、私は血の気が引いた。


手に持っているぬいぐるみまで、血で真っ赤に染められて……。