このカラダを、玄関前ホールにあるという棺桶に今日こそは納めたい。


西棟に入り、教室をひとつ通り過ぎて、一階に続く階段を駆け下りる。


保健室の方から、変な声が聞こえない。


なんだか、昨夜と同じようで嫌な予感がする。


踊り場に着いた時、私は昨日のような失敗をしないように、そこでしばらく様子をうかがった。


誰かがいる気配もないし、今なら行けそうな気がする。


そう思い、私は階段を下り始めた。













「いやああああああっ! 助けて!」










と、同時に廊下に響く留美子の悲鳴。


生産棟の方から……こっちに向かって来る!?


まさか、さっきどこかに行った「赤い人」から逃げてるの!?


やっぱり私は運が悪い!


慌てて階段を駆け下りて、急いで玄関前ホールに向かう。








「ダメ! 誰か……きゃあああああっ!!」









留美子……ごめん! 今はカラダを棺桶に納める事が先決なの!


自分にそう言い聞かせ、明日香の右胸を抱き締めて、棺桶へと走った。


玄関前ホールに到着した私は、伊勢の言う通り、その中央部分に置かれていた棺桶を見つけて、それに歩み寄った。