「キャハハハハハハッ!」
背後から聞こえたあの笑い声が、私の背筋を凍らせる。
大丈夫じゃなかった!
ペタペタペタという小刻みな足音が近付いてくる。
慌てて階段を駆け下りて、生産棟の二階に着いたけど、どこに逃げればいいの!?
東棟から伸びる廊下の直線上は、絶対に見つかってしまう。
工業棟に逃げても、渡り廊下を走っている間に見つかる。
考えている余裕なんてない私が、瞬時に導き出した答えは家政学室。
また、あの部屋に入るのは嫌だけど、そんな事は言ってられない。
T字路を西に曲がり、向かって左側にある、ドアの開いた部屋に飛び込み、大きな机の陰に隠れた時。
ドンッ!という、「赤い人」が階段を飛び下りたと思われる音が、廊下から聞こえた。
「アアアアアア……」
二階に着いた「赤い人」のうなり声が聞こえる……。
私がどこに行ったのかが分からずに、探しているのだろう。
普通なら、少し考えれば分かる事だろうけれど、そこは見た目通り子供なのだ。