『「赤い人」が、生産棟三階に現れました。皆さん気を付けてください』
その校内放送で私は、あの少女と「赤い人」はつながりがあると思わずにはいられなかった。
「ど、どうしよう……生産棟三階って、なんで私がいる所ばかり……」
運が悪いなんてものじゃない、まるで私が狙われているかのように、そこに呼ばれているように思える。
今の少女が「赤い人」なら、私はもう振り返る事ができない。
ゆっくりと、振り返らないように後退しながら視聴覚室の入り口まで戻り、ドアをほんの少しだけ開けて廊下の音に耳を澄ませた。
「あ~かい ふ~くをくださいな~……」
唄が……聞こえる。
遠くから聞こえているような声だけど、生産棟の西側か東側か、それがよく分からない。
どうすればいいの……。
今の少女がもしも、「赤い人」に関係しているのであれば、この部屋にいるのはまずいような気がする。
早く、ここから逃げないと、私はまた追い詰めらる。
さっきのように誰かが助けてくれるなんて、期待はできない。
皆、私がここにいるなんて知らないのだから。