段差のある、劇場の出来損ないのようなこの部屋も、10分程度でスクリーンの前に到達する。


結局、ここにはカラダはなく、肩を落としながら入り口の方へと歩く。


「はぁ……私のせいで、カラダをなくしたんだから、私が探さなきゃならないのに……」


発見した部屋に戻っているなんて、そんな甘い事はないよね。


皆は今頃、どの教室を調べているのかな?


夜の校舎、ひとりでカラダを探すのは心細くて……視聴覚室の入り口まで戻った時には、寂しくて泣きそうになっていた。


次はどの部屋を調べればいいんだろう?


このまま三階を調べても良いけど、皆の事も気になるし、それに私が二階を調べていると皆は思っているはず。


だったら、二階に戻るべきだよね。


まずは二階を調べ終わる事ができれば、そこに「赤い人」が現れても、気にせず他の場所を調べる事ができるのだから。


よし、二階に戻って、残った部屋を調べよう。


そう思い、ドアを開けようとした時だった。


私は背中に、誰かに見られているような視線を感じて、ゆっくりと振り向き、携帯電話の明かりを向けた。