音が……やんだ?
「赤い人」の次の行動が気になるけど、それを見る事ができない。
見てしまえば、振り返る事ができなくなるし、何より「赤い人」が上を見ていたら、確実に殺される。
早く出て行って!
何もできずに、震えているだけの私ができるのは、祈るという事だけ。
しかし……その祈りもまた、届かなかったのかもしれない。
「どうしてどうしてあかくする~」
音はやんだけれど、唄がやんだわけではない。
その唄はやむどころか、棚をかすかに揺らしながら、徐々に私に近付いていた。
「どうしてどうしてあかくなる~」
もしかして……棚を上っているの!?
そんなの、もうどうする事もできないじゃない!
このままじゃあ、「赤い人」に見つかるのも時間の問題だ。
「お手てをちぎってあかくする~」
徐々に近付くその歌と共に、私の命がガリガリと削り取られているようで……。
バンッ! と、私が伏せている天板に、「赤い人」の手がかけられた振動が私の体に伝わる。
もう……ダメだ!
今日もまた、私は死ぬんだと、そう思った。