「何……この部屋……」








想像していなかったわけじゃない。


だけど、その中を見ただけで、総毛立つのを感じた。


スチール製の棚に、乱雑に置かれた、古いミシンやアイロン、裁縫箱が置かれ……その下の段や床にまで溢れていた、マネキンの残骸。


腕や胴体、頭が転がっていたのだ。


携帯電話の明かりで照らされたマネキンの残骸は、不気味で……。


この中にカラダがあったら、パッと見ただけではまったく分からない。


「まさか……ないよね、こんな所に……」


近付くのも嫌だけど、調べないわけにはいかない。


私は、恐る恐る近付いて、その残骸のひとつをかがんで手に取った。


硬い……これは違う。


よく考えれば、腰の部分はスカートを履いていた。


だったら、他の部分も衣類を着ているはず。


こうして、ひとつひとつ調べる必要がないのだ。


そう考えて、私は立ち上がり、足でその残骸を分けていった。


結局、ここを調べてもカラダはなく、無駄に恐怖しただけ。


フウッとため息を吐き、準備室から出ようとしたその時だった。