「でもよ、『赤い人』は三階にいるんだろ?次の校内放送が流れるまでは、二階を調べようぜ」


危険を冒すよりも安全な場所を調べる。


当然と言えば当然だけど、「赤い人」がいつ、どこに現れるか分からないこの状況では、安全な場所などないように思えた。


もしも、「赤い人」が生産棟の二階に下りてきた場合、固まって動くよりも、散らばって教室を調べた方が安全だ。


ひとりが見つかったとしても、なんとか逃げて、保健室にいるふたりを道連れにするという作戦で、皆は生産棟の二階に散らばっている。


皆がどこを調べているかは分からないけれど、私はこの教室の隣、準備室を調べる事になった。


この教室の、まだ調べていない収納を調べ終わり、いよいよ準備室。


この教室自体に入った事がないから、その中がどうなっているかは分からないけれど、だいたい想像はつく。


きっと、ごちゃごちゃした部屋なんだろうな……。


そんな事を考えながら、準備室のドアノブに手をかけ、ゆっくりとそれを開いた。


暗く、狭い室内を携帯電話の明かりで照らした私は、その光景に息を飲んだ。