「事務室の前には、カラダはなかったの?」


私の問いに、伊勢は首を横に振って答えた。


「そうか……じゃあ、邪魔をしてくる可能性が高いな。それに、カラダの行方も気になる」


眼鏡をかけてないのに、いつもの癖なのか、眼鏡をクイッと上げようとする翔太。


それを思い出したのか、恥ずかしそうにその手を頭まで持って行き、ごまかすように頭をかく。


「まあ、今日は邪魔はしねぇだろ。あいつら、俺達が仲間割れしたって思い込んでいるみたいだからな。今頃はまた、保健室だ」


「なんかそれ、ムカつくなぁ。私達がカラダを探してるのに、あのふたりはヤってんでしょ? あーあ、私も彼氏と一緒だったらなぁ」


ガックリと肩を落として、ため息を吐く留美子。


「そんな事を言い出したら、俺だって美雪と……」


何を言っているか分からないくらいの声でブツブツと翔太が呟く。


まあ、そんな事はどうでも良い。


「とにかくさ、カラダが事務室の前になかったっていうなら、元の場所に戻ってるかもしれないでしょ?だったら、私……行ってくるよ」


私のミスでこうなったんだから、私が見つけないと。