校内放送が流れて、思わず私は天井を見上げた。


フロアが違うけど、大丈夫かな……。


伊勢もまだ来ていないのにと、少し不安になっていた。


「生産棟の三階か……早く高広が来てくれないと、身動きが取れないぞ」


翔太もまた、私と同じように天井を見上げて呟く。


「この教室も、もう調べ終わるからね……この次は隣の準備室かな?」


黒板に向かって左側にあるドア。


その上に「準備室」と書かれたプレートが掲げられているから分かりやすい。


「でも、大丈夫?その部屋、ここしか入り口ないんじゃない?外にはドアがなかったし」


心配そうに留美子が尋ねた時だった。


「悪い、遅くなった」


教室のドアを開けて、伊勢が室内に入ってきたのだ。


皆の携帯電話の光が、いっせいに声のする方を照らし出す。


「高広、遅かったな。それで、どうだったんだ?」


「そうだな、武司がカラダを処分したってのは嘘だ。相島が『赤い人』に殺された後、あいつも事務室の前で殺されたみたいだからな」


その話が本当なら、カラダはどこに消えたのだろう。


伊勢が事務室で待機していたのなら、そこにカラダがあれば気付くはず。