他の教室に比べて物も多く、収納だって多い。


ひとつの机だけでも、裁縫道具が入っている引き出し、ミシンやアイロンが入っている収納がある。


さらには、部屋を取り囲むようにある、無駄にも見えるキャビネットや、仕上がった服を着せるであろうマネキン等が、他の教室とは違う雰囲気をかもし出していた。


「なんでこんな物があるのよ……マネキンなんか、置いておくなっての!」


相変わらず自分勝手に騒いでいる留美子。


私も翔太も、その言葉を軽く受け流して、収納を調べていた。


「それより、高広はまだ来ないのか? そろそろ来ても良い頃だけどな」


「早くしないと校内放送が流れちゃうよね……もしかして、袴田と喧嘩してるとか……」


ありえない話じゃない。


生徒玄関での袴田に対する態度を見ている限り、演技とはとても思えないから。


そんな話をしながら、収納を調べていた時。












『「赤い人」が、生産棟三階に現れました。皆さん気を付けてください』