ここまでは作戦通り……後は、玄関が開くまでに、どれだけだませるか……それだけだった。


「あんたらさあ……カラダが処分されたのなら、何しても変わらないじゃん……それに、美雪が武司なんかにカラダを渡したのが原因でしょ?何を考えてこんなバカに渡したの?信じられないわ」


普段なら、もっとキツい言葉を吐くであろう留美子も、呆れたような演技を見せて、ため息を吐く。


「ハッ!俺がバカ?バカは相島だろうが!こうなる事が想像できなかったのか?恨むなら、相島を恨め!カラダはしっかりと処分しておいてやったからよ!」


思い通りだと言わんばかりに、笑いながら私を指差す袴田。


それが本当の事か、虚勢を張っているだけなのかは分からない。


でも、この様子なら、上手くだませているはず。


「翔太ぁ!!いつまでつかんでやがる!」


翔太の手を振りほどこうと、伊勢が体をひねった時だった。


その右ひじが翔太の顔に当たり、ゴツッという音がして眼鏡のつるが折れ、こめかみから出血。


そのまま地面に倒れ込んだのだ。