留美子も、明日香のお母さんも、同じような感覚なのかな。


何にしても、この部屋に来た事がない私にとっては、明日香の匂いのする部屋という感覚しかなかった。


「おばさん、ありがとう。次は明日香がいる時に来るよ」


ゆっくりして行ってねと言われたものの、見知らぬ私達がその言葉に甘えるわけにもいかない。


「あら、他にもお友達がいるの?いいわよ。高広君のお友達なら、いつでも連れてらっしゃい」


自分の娘の名前すら忘れている、明日香のお母さん。


できる事なら、明日香のカラダをそろえてあげたい。


伊勢の話だと、前回の「カラダ探し」を誰に頼まれたかは分からないと言っていた。


「カラダ探し」を終わらせると、明日香はどうなるのか……私には分からないけれど、早く終わらせなければ。


主のいない部屋……それなのに、掃除がされていた部屋。


あのお母さんは、明日香の記憶がなくても、留美子が言うように何か引っかかるものを感じているのだろう。


伊勢は、明日香が言った「大丈夫」という言葉を信じている。