食べ終わってから、今日のことを常葉に話した。常葉は知ってた風だったけど、わたしの話は黙ってずっと聞いていてくれた。
「結局ユイちゃんたち、クロをきちんと飼うことにするって。って言っても、なんかあったときに心配だから首輪付けるくらいで、そんなに今までと変わんないみたいだけど。もちろん子猫たちも一緒にね。責任もって育てるって言ってた」
「そうか」
「大変だったけど、なんだかんだ願いを叶えられてよかったよ」
「ん、よくやった、千世」
常葉の手が頭をなでる。それがちょっとこしょばゆくて、わたしは少し俯いてしまう。
すっかり暗くなった遠くの町に、いろんな光が浮かんでいる。
「何か見つけたか、千世」
常葉が呟いた。何のことかな、と考えたのは一瞬で、すぐに「んー」と苦笑いが出た。
「見つかるわけないよ、こんなことで夢なんて。神様のお仕事したっていうより、なんでも屋にでもなった気分だし」
「そうか」
「そうだよ。そもそもが無理な話なんだって」
わたしが言うと、常葉はどうしてか愉快そうに目を細める。
「何事も大事な経験だ。今の己に得ることはなかったとしても、今後の何かに響くこともある」
「……そういうもんかな」
「そういうものもある」
わたしはひとつ息を吐く。足をブラブラ揺らしながら、今日を思い返す。