「いやあ、苦しかったけどこれで終わり! 真の夏休み到来!」

「あとは遊ぶだけだねえ」

「千世はどっか行く予定とかあるの?」

「んー、甲子園にはたぶんもう行かないから、特にないなあ。今年はおばあちゃん家も行かないし」

「ならさ、花火一緒に見ようよ」

「花火?」

「うん、もうすぐやるんだけどさ。うちの町の花火大会」


そう言えば、前に常葉がそんなこと言ってたっけ。今も夏に花火を打ち上げてるとか。


「結構すごいんだよ。田舎の花火となめちゃあいけない」

「行きたい! わたし去年見られなかったから、今年は見たいんだよね」

「おお! じゃあさ、浴衣着ようね、花火見に行くには必須だから」

「浴衣かあ。長いこと着てないなあ」


確かいとこのお姉ちゃんのおさがりがあった気がするけど、それを着たことはないからなあ。お母さんに早めに確認しておかなくちゃ。


「あとはどこで見るかだよねー」

「紗弥はいつもどこで見てるの?」

「んー、あたしはだいたい家のベランダとか、中学の屋上から見てたりしたけど。一番よく見えるのはやっぱり河原だよね。でもすんごい人混みだからなあ……あ、そうだ、あそこ!」


ピン、と紗弥が人差し指を伸ばす。その指で示したのは、わたしのこと。


「千世のとこ、行こうよ!」

「え、ウチ?」

「千世ん家じゃなくて、ほら、常ノ葉神社!」


常葉のいる神社? あそこから花火を?