「わかった、じゃあ……私は生産棟の方に行くから!」


「恨みっこなしだからね! どっちを追いかけて来ても!」


二階に着いて、私は、留美子とは反対の生産棟へと走った。


渡り廊下を通り、生産棟の階段を下りて理科室へと向かう。


もしかすると、3人の死体があるかもしれない。


それも、元が誰かもわからないくらい、ぐちゃぐちゃになっているかもしれない。


それでも、死体の数が2人分なら、ひとりは生きているという証明になるのだから。


怖くても、確認に行くしかなかった。


「赤い人」が私の後を追ってきている様子はない。


と、なると、留美子の方に行った可能性が高い。


低い可能性を考えれば……西棟に入った私達と「赤い人」を見た翔太が、驚いて振り返ったという可能性もある。


初日の事を思い返せば「赤い人」がいる場所で振り返った場合、校内放送は流れないのだ。


そんな事を考えながら、理科室がある廊下の角を曲がった時だった。


廊下の床から壁までを染める真っ赤な血。


そして引きちぎられた肉片の塊が、所々床に落ちていた。


「こ……これ……理恵?」


誰だか判別できないこの肉片で、理恵だと判断できたのは……肉片の中にある、制服のスカートの生地。