「ただし条件がある! 今回の『カラダ探し』では、お前が『赤い人』を引き付けろ! 死ぬまで逃げる事が条件だ!」


一瞬……うれしそうな顔をした翔太が、一転してがく然とした表情に変わった。


「死んでも、『昨日』になったら生き返るんだろ? お前が言ってた事だぞ」


健司がそう言ったと同時に、玄関のドアが開いた。


「じゃあ、校内放送が流れたら、お前はそこへ行けよ。『赤い人』を引き付けて、二階の廊下を逃げ続けろ。それまでは一緒にいる事を許可してやる」


高広のその言い方に、きっと翔太は、心中穏やかではないはずだ。


恐怖……不安……怒り……。


一体どんな感情に支配されているのかはわからない。


それでも、健司と理恵が許さない限り、全員で協力してカラダを探す事なんて不可能なのだから。

私達は、高広を先頭に玄関に入った。


相変わらず冷たい空気が張り詰めた校舎内。


何度来ても、この空気だけは慣れない。


「『昨日』言ってた棺桶は、そこのホールに置いてあるんだぜ」


そう言い、指差してみせる高広。


玄関からは、自動販売機の裏側しか見えないホール。


廊下より一段高くなっているそこに向かうと、確かにその中心には、棺桶が置かれていたのだ。