少し、かわいそうだと思ったのは……私だけなのだろうか?


そして、崩れ落ちるように高広の前に座る翔太。


でも……。







「ねぇ、皆……私のカラダを探して」






それで絞殺されたであろうロープを首にかけたまま……遥は私達の前に現れて、そう言ったのだ。







「テメェ! 嘘ついてんじゃねぇよ!」


放課後の教室、遥が生きていた事に腹を立てた高広が、翔太を殴りつけていた。


端から見れば、あまりに理不尽な行動。


クラスメイトも、こちらに視線を向けてはいるものの、高広が騒いでいるからなのか、誰も止めに入る様子はない。


「本当に……本当に殺したんだって! 見ただろ……あの首!」


翔太の言う通り、確かにあの時、遥の首にはロープで絞めた痕があった。


それにあの形相は、演技や嘘なんかじゃないはず。


「高広、翔太は嘘を付いてないと思う。きっと……あの遥は、本当の遥じゃないんだよ」


私がそう言うと、高広は殴るのを止めて振り返った。


納得できないと言った様子で、私に視線を向けているのがわかる。


「何でそんなのがわかるんだよ? 明日香、何か思い当たる事があんのか?」