私を見つめる眼差しを見た事がある。


「カラダ探し」の三日目に、友達を犠牲にした翔太に向けられたのと同じものだ。


「る、留美子……あれは……」


「言い訳なんて、聞きたくないんだよ! 呼び捨てにすんな!!」


私の正面に屈み、そう言って右手を振り上げる留美子。


その瞬間……私の中で、何かが弾けたような気がした。






パンッ!という音と共に、左頬に感じる痛みに、私は抗う気力もなく、そのまま倒れて……。


一筋の涙が流れ落ちた。


「何……泣いてんのよ。あんたが遥にやった事でしょ!? 奈津美、行こ!」


そう言い放った留美子を、私は見る事ができなかった。


遠ざかる足音を聞きながら……心のどこかで信じていた、「もしかしたら、まだ覚えていてくれてるかもしれない」という気持ちが、私の中から完全に消え去った瞬間だった。


少しでも信じた私がバカだった。


いくら友達を大切にしても、どれだけの時間を共に過ごしても、「呪い」の力には勝てない。


理恵も、留美子も、皆私の事なんて忘れて、記憶の片隅にも残っていないんだ。


だったらもう、どうだって良い。


私は留美子に倒された状態のまま、涙を流し続けた。