結局、私が教えてもらえたのは、「カラダ探し」の最後のひとつを納める時の注意点と、終わった後に皆がどうなるのかという事だけ。


「……17時に、ここの玄関で待ってるから来なさい。何もしてあげられないけど、僕の車を置いておくから、そこで寝ると良いよ。校舎は、夜は警備がかかっているからね」


そう言ってもらえる事はうれしかった。


でも、それが逆に、私は本当にひとりぼっちなんだという事を痛感して……小さくうなずいて、職員室を後にした。



旧校舎を出て、四限目が終わる前に新校舎の方に戻った私は、また屋上で腰を下ろしていた。


昼間の学校で、人が来そうにない所なんて、屋上くらいしか私には思いつかない。


チャイムが鳴り、昼休みに入ってしばらく経った。


朝から何も食べていない私にとっては、皆が昼食を食べていると思うと、うらやましくて。


「お腹……減ったな……」


そう呟いて、空を見上げた。


もしも私に翼があったら、ここから飛んで逃げられるのかな?


気持ち良さそうに空を飛ぶ、一羽の鳥の跡を追うように、指でそれをなぞる。


こんな事をしていても、空腹を満たす事はできないけど、少しでも気を紛らわせたかった。