その言葉に、私の頭の中は真っ白になった。


何も考えられないのに、悲しみだけが残っていて、涙が止まらない。


理恵にそう言われて、大人しくなったと判断したのだろう。


私の身体をつかんでいた数人の手が離れた。


でも、私はこれからどうすればいいの？


親友の理恵にぶたれて、おかしいと言われて……。


クラスメイトをかき分けて、居場所がなくなった教室から、私は逃げるように飛び出した。


教室を飛び出して、階段を駆け下り、生徒玄関に走った。


すれ違う生徒のすべてが、きっと私の事なんて知らないんだ。


生徒玄関から、校門に向かう途中で、私が知っている人達もいた。


頻繁に顔を合わせていた人も、体育祭で同じ組になった人も、「森崎明日香」という存在を覚えていない。


そう考えると、まるで真っ暗な闇の中を走っているような孤独感と心細さを感じる。


涙を流しながら走っている私を、気に留めてくれる人なんていない。


校門の前まで走った私は、まだ止まらない涙を拭い、速度を落としてその場で立ち止まった。


皆が私の事を忘れているなら、先生達だって忘れているはず。