「ま、戻る所があれば……の話だけど。ごめんね、嘘ついちゃった」


その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中で何かが切れた。


肩に置かれていた手を払い、振り向きざまに遥の頬を平手打ち。


パンッ!という音が室内に響き、直後どよめきが起こる。


顔が横に振られ、髪が乱れた遥。


でも、その口元は笑っていて、まるで私がそうするであろうという事がわかっていたかのようだった。


「何もかも遥が悪いんだ! 『カラダ探し』をしてあげたのに! 何で私がこんな目にあわなきゃならないのよ!」


平手打ちだけじゃ気が済まない。


私は遥の髪を引っ張り、泣き叫びながら、その頭を叩いた。


「あんた、何してんの!?」


「ちょっと! やめなよ!」


皆が騒ぎ始めても、それを止めるつもりなんてなかった。


でも、二度、三度と叩いた時、私は周りにいたクラスメイト達によって、遥から引きはがされてしまったのだ。


そして、その間に入った理恵。


眉間にシワを寄せ、怒りと軽蔑が入り交じったような目で私を見つめて。


振り上げられた右手が、お返しとばかりに、私の左頬を張った。


「どうしてこんなひどい事するの!? 遥があんたに何をしたのよ!! 心配して声をかけたのに、何なのよ!! あんた、おかしいよ!」