「ねえ、どうして泣いてるの? ここはあなたのクラスじゃないでしょ?」


覚えていないはずの私を、心配して声をかけてくれる理恵。


相変わらず優しいけど、今はその優しさが辛い。


「私は……このクラスにいた! 理恵、思い出してよ!!」


悲しくて、苦しくて、声が震える。


今私が出せる、精一杯の声を振り絞って叫んだ。


その声に驚いたのか、シーンと静まり返る室内。


その中で、教室に入ってきた生徒が沈黙を破った。


「おはよう……って何? この雰囲気……」


教室の入口にいたのは、遥だった。


このクラスにいる事が当たり前だと言わんばかりに、堂々と教室の中に入って来る遥。


「あ、遥……この子がいきなり泣き出してさ、何だか混乱してるみたい」


「んー、話が良くわからないね。どうして泣き出したの?」


理恵の言葉にそう答えて、遥はこちらに向かって歩いてきた。


思えば、遥は昨夜、私の質問に答えてはくれなかった。


それは、遥にとって都合が悪い事だったのだろう。


だから私を押して棺桶に倒したんだ。


「ねぇ、あんた、自分のクラスに戻りなよ」


目の前に立った遥はそう言い、私の肩に手を回した。


そして、耳に顔を近づけて、こうささやいたのだ。